オッセオインテグレーションの確立とその技術進歩は、インプラントの適用をさらに拡大しようとしている。インプラント治療の目指すゴールは機能と審美性の回復だけでなく、患者のQOLの向上と定義されるようになってきた。 |
そのためには、グローバルスタンダードが重要である。1986年のボストン会議から、1998年のトロント会議までに3回の世界的会議で、オッセオインテグレーションをめぐる「我々が知っていること」(歯周靭帯は存在しない、軟組織の介在はダメである。インプラントの微小動揺は150μ以下。150μ以下であれば1回法も可能など)、と「我々が知っていないこと」(分子レベルではわかっていない、インプラント歯周炎のリスクレベルがわからない、インプラントの動揺が150μ以下のコントロールはわかっていない など)を整理した。 |
現在の成功の基準のグローバルスタンダードは
- インプラントは、患者と歯科医の両者が満足する機能的ならびに審美的な上部構造をよく支持している。
- インプラントに痛み、不快感、知覚の変化、感染の徴候などがない。
- 臨床的に診査するときに、個々の連結されていないインプラントは動揺しない。
- 機能下1年以降の経年的なインプラント周囲の垂直的骨吸収は、0,2mm以下である。
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とされている。これらの基準に基づいて展開されている新しいインプラントのトレンドとしては、
- 補綴主導型で
- より審美性に
- より多くの症例を
- より短い治療期間で
としている。 |
これらの概念に基づく実験で、荷重の変化、上部構造の材料の違い、インプラント体の種類の違いなどによるオッセオインテグレーションの変化に関する最新知見が示された。 |
また、研究と臨床との同値化の重要性を述べられ、今後の再生の方向性を示された。 |
インプラントの成功のグローバルスタンダードをベースとした今後の方向性を明確に示唆されたすばらしい講演であった。今後、インプラントが国民医療の中で支持されるためにも、肝に銘じるべき内容であった。 |