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講師・石川達也マスター |
[歯科医療の歴史と現状]
歯科医師法制定時の明治39年まで遡り、これより以前は"YASI香具師”の類であったが、血脇守之助などの努力により医師法と同等になった。医科・歯科二元論もあるが、歯科は医科の一分野であり、脳の手術をするかしないかは医師の裁量の範囲であり、職業として制限を行うことは社会への貢献、学問の発展を妨げる。その良い例がエジソンとテスラーの戦いである。大学にいる人は、シールドの中にいるため、社会的な発明をほとんどしていない。障壁を取り除くことこそが大切である。いま札幌医科大学の全身麻酔の問題があるが過去には静脈注射の可否をめぐる裁判があったが、歯科医師が勝っている。医師法と歯科医師法との違いはほとんどないのである。
[医療保険制度の変遷]
明治38年八幡製鉄所共済組合の成立
昭和13年に内務省より厚生省が分離し設立され、昭和36年に国民皆保険となった。平成15年12月26日に保険医に対する国の審査はなくなり、現在は移項処置の状態である。
[歯科のアイデンティティーをどこに求めるか]
歯科のアイデンティティーは歯科医師が扱うヒトの人生の質の管理であり咀嚼という生物としての基本的な生理活動の「質」の維持:すなわち生体に調和した下顎運動の構築である。言い換えれば咀嚼はOcclusal Programingであって、これが大脳中枢で動かされているのである。
[歯科医師数]
2030年から人口が減少するので、大学の定員を早急に50%削減する必要があるが、代議員の数に影響するためおそらく実現不可能であろう。全く歯科界は泥塗れの状態である。
[主な診療行為の推移]
1980年代まで補綴中心のカリエス治療であった。90年代からカリエス治療が減りはじめ、2,000年代に入るとインプラントが多くなり、特筆すべきことは全身管理(ヘルスプロモーション)が現れていることである。アメリカでもいま歯科が転換期を迎えていて“Oral Craniofacial Disorder interacted to somatic system”に進みつつある。補綴学の内容はあまり変わっていないが、咀嚼は非常に精神的な影響をうける。
[脳磁計、MMEG,Functional MRIを使用したBrain Regulationについて]
脳磁計は絶対温度279度で出てくる超伝導、超磁波を計測する装置です。先ず体重と咬合の変化を調べた。若者だと体重が変化しても咬合は変化しないが、老人では体重が変化すると咬合も変化する。咬合によってホルモン分泌が変化し、頭痛が軽減される。寝ているときと起きているときでは安静位は異なり、脳下垂体からのホルモン分泌が変化する。咬み合わせの変化により交感神経が緊張し、内臓も変化することなどがわかった。
[顎運動と聴覚について]
聴力が咬合を反映し、周波数により早期接触の部位を特定できる、また左右で差があった聴力が咬合調整をすることにより左右差がなくなり正常範囲になる。
[結論]
顎関節症は、咬合接触ではなく大脳運動野に異常が起きて、運動指示系統に欠陥を持っていて、習癖がかなり続かなければ顎関節症は起こらない。“良い噛み合せは 健康と福相をつくる” |