― 新 聞 情 報 ― |
広報誌編集委員会 新谷 雅隆 フェロー |
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今年度の年末集会・特別講演「アポトーシス(細胞死)」を頭をかかえながら聞かせていただきました。この講演で私の脳裏に焼き付いている場面は細胞が次々と爆発して死んで行く所でした。 |
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本日の夕刊に我々の臨床現場でも役立つ記事が出ていましたのでご紹介します。
(日本経済新聞 夕刊/12月24日)〜傷の手当ての新10か条〜 |
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また、詳しくは参考ホームページアドレスも掲載されています。アクセスしてみてはいかがですか。 |
【 傷の手当ての新10カ条 】 |
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- けがをしたらまず水で洗う
- やけどは水で冷やす
- あまり薬に頼らない
- 傷は湿った状態に保つ
- 1カ月たって治らぬやけどは植皮を検討
- 傷あとの修正は半年待って
- 傷あとは目立たなくできるが消しはできない
- 床ずれは予防できる
- 下半身のかいようは治りが悪い
- 傷を治すのは自分の治癒能力
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(創傷治癒センターの資料をもとに作製) |
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転んでできたすり傷や、台所や日曜大工などでの切り傷の処置法が変わりつつある。「傷は乾燥させた方がいい」「薬でよく消毒」――。いずれもこれまで当然と考えられていた処置法だが「場合によっては傷の治りが悪くなる」と話す専門家が増えている。「傷を早くきれいに治すには、今までの常識を忘れる必要がある」という。
「傷はお風呂で洗ってきれいにしてください」。手術で縫い合わせた後、傷口がふさがって回復途上にある傷の処置について、茨城西南医療センター病院(茨城県境町)の知久明義形成外科科長が説明すると、患者は「洗ってもいいんですか」と驚く。
従来は抜糸まで病院に通い、医師に消毒してもらうのが普通。自分で洗うなどもってのほかだった。「頭の傷ならシャンプーで洗っていい。洗わずにふけだらけになった頭と、毎日洗った頭とどっちが清潔でしょうか」と知久科長は笑う。
従来、傷にはまず消毒というのが常識だったが、「消毒薬は、ばい菌を殺すだけでなく、傷を治そうとしている細胞も殺してしまう。水道水でよく洗えば、浅いすり傷や切り傷程度なら消毒は必要ない」(知久科長)。
「ガーゼで傷を覆うのもよくない」(北里大学の塩谷信幸名誉教授)。傷から出る体液には、皮膚の湿度を保つ働きのほか、傷を治す指令を出す物質が含まれ、自然治癒を助けている。それがガーゼを当てると体液がガーゼに吸われて乾燥する。すると、これらの働きが弱まり、傷の治りが遅くなる。傷跡も残りやすいという。ガーゼが傷にくっつき、はがすときに傷を悪化させることも多い。
傷が乾くとかさぶたができるが、「かさぶたは百害あって一利なし」(知久科長)。皮膚が元に戻るのに邪魔になるという。かさぶたの下で傷が化のうすることも多い。体液で湿った状態にしてかさぶたができないようにする方が菌の感染を抑えられるという研究もある。
茨城県西南医療センターでは二年ほど前からこうした新しい傷の治療を始めた。傷が早く治り、傷跡も目立たないといった特徴が注目され、各地の形成外科などの医師の間で次第に広まりつつあるという。
最近では日本形成外科学会や日本皮膚科学会でも関連したセミナーが開かれるようになった。
「治療の原理自体は四十年前から分かっていた」と話すのは山形市立病院済生館(山形市)の夏井睦形成外科医長。長い間、普及しなかったのは「医師にとってガーゼを使う治療はラーメンにコショウを入れるようなもの。習慣的にやってきたことなので誰も見直そうと思わなかったのだろう」と夏井医長はみる。
軽いすり傷や切り傷など大半の傷は家庭で治せる。家庭では汚れを落としてからラップを当ててばんそうこうで留め、その上に包帯を巻くのがよい。最近では傷が乾燥しにくいタイプの救急ばんそうこうも普及し始めた。
医薬品メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソンは「正しいキズケア推進委員会」と題して、新しい家庭での傷治療法の普及を進めている。ケガをしたら(1)傷を水道水でよく洗う(2)清潔なタオルやティッシュペーパーで押さえて止血(3)ばんそうこうを張る――という手順で処置をするとよい。乾燥を防ぐため、ばんそうこうは汚れていなければ四、五日替えなくてよいという。「傷を治すのは自分の治癒能力。消毒や乾燥はマイナスになることを知ってほしい」と塩谷名誉教授は話す。
ただ、砂や泥が中に入ってしまった傷や、二、三分たっても血が止まらないようなかなり大きな傷の場合は医師に相談して、処置を受ける必要がある。
新しい治療法はインターネットでも知ることができる。山形市立病院の夏井医長のホームページ(新しい創傷治療)はその一つ。
塩谷名誉教授も創傷治癒センターで傷治療の最新知識を紹介している。 |
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以上 |
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