満開の参道
招き太鼓のお囃子が始まれば、あたりは江戸時代にタイムスリップする。ここは香川県の琴平町、こんぴらさん参道脇の「金丸座」。全国から集まった「歌舞伎ファン」がわくわくしながら開場を待って行列を作っている。普段はひっそりたたずむ金丸座も、毎年4月、桜の季節の3週間は前広場に多くの茶店やみやげ屋が開店し、江戸時代の賑わいが戻ってくる。芝居弁当やお酒を買い込んで、ねずみ木戸をくぐればそこはまさしく江戸時代のまま、かわいいお茶子の案内で、花道脇の升席に座る。
金丸座入口
マーク
最初は薄暗く感じる劇場も、目が慣れてくればゆらゆらと光る蝋燭を模した照明や、明かり障子をとうした自然光で、桟敷席に座る観客の顔もよく見える。おや、あれは扇千景さんじゃない。そうそう今年は坂田藤十郎丈が座頭だったのだ。拍子木がなり、いよいよ幕が開いた。
「いよっ、山城屋」
金丸座内部
旧金毘羅大芝居は、天保6年(1835)に建築された現存する日本最古の本格的芝居小屋である。 昭和45年(1970)、国の重要文化財の指定を受け、その保存を図るため昭和51年(1976)、復元再興がなされ、現在地に移転し、天保時代の姿そのままに甦った。「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は、昭和60年(1985)6月の初公演以来、文化庁、香川県及び松竹株式会社の協力を得て毎年開催され、全国からの歌舞伎ファンを魅了し続けている。
第二十三回『四国こんぴら歌舞伎大芝居』公演記録
金丸座上部
平成15年(2003)、旧金毘羅大芝居では、耐震構造補強工事(平成の大改修)が行われ、併せて長年、観劇の妨げとなっていた4本の鉄柱も取り除かれた。さらに調査の際、江戸時代の仕掛け「ブドウ棚」「かけすじ」の痕跡が発見され、これを復元。旧金毘羅大芝居は、細部にわたり、江戸の時代を垣間見せる芝居小屋へと再度、変貌を遂げたのである。
また、復元された仕掛けを活用し、上演される演目の幅も広がり舞台と客席が一体化となった空間芸術をも作り出せることとなった。
近くの栗林公園
菜の花